7/18にお越しいただいた伊原直子さんには、木彫「香草」をお持ちいただきました。ちょうど「土方久功日記」を読んでいるときに、NHK「日曜美術館アートシーン」をご覧になったとかで、暑い中、重い作品をご持参いただきました。クラシックやオペラのファンの方ならご存じでしょうが、伊原さんは声楽家として国内外で活躍され、教育者としても後進を指導されています(ウチでは後からCDを買いました)。
「久功おじさま」と思い出を語っていただきましが、久功の実兄の義妹のお嬢様にあたる方で、母上の澄子さんは「日記」にもよく登場されています。お持ちいただいた「香草」は、伊原さんの父上が「ぜひに」と頼んで譲り受けたそうですが、今も玄関に飾り、「行ってきます」、「ただいま」と声をかけておられるそうです。そんな愛着のある大事な作品ですが、「一緒に見てもらいたい」とのことで、7/18から展示させていただきました。
後で確認しましたら、1953年の丸善画廊での個展に出品されており、1991年の世田谷美術館での回顧展の際にも出品されていました。
ご存じの方からは、伊原さんに面影が似ている、モデルではないか、とのご意見もありましたが、制作年から考えるとそれはなさそうです。耳ピアス代わりに香りのする草を挿した南洋女性が題材でしょうが、確かに伊原さんと雰囲気が似ていて、そういうこともあるのかもしれないなあと思わせてくれる作品です。
本作が図録にも絵葉書にもないのは(キャプション手書き)、そういう事情です。