ベンヤミンがこの書を著した時代は、ヒトラー政権が生まれ第2次世界大戦が勃発する間際のころ。彼は「アウラ」という「空間と時間が独特に縺れ合って一つになったものであって、どんなに近くにあってもはるかな、一回限りの現象」が複製技術の発達によって失われていくと指摘。そして「映画」の役割を考察し、それは政治による芸術利用にもつながり「政治的に生み出された偽のアウラを人々は熱狂的に支持するようになりやがて戦争という頂点に達する」とも指摘しました。
今の時代はIT技術の進化によって、当時は思いも及ばないような多次元的な「複製」が可能になっていますが、基本構造は共通しているのではないかとベンヤミンの考察は視点を得させてくれます。未来を生きる子供たちにどのような教育的かかわりができるのかなど、様々な意見が出ました。
今年のGMFアート研究会はこれで終了しました。
今回は第1期~第3期までの振り返りを経たまとめ編というべきものでした。計10回の研究会は、ナビゲーター・木村拓也さんによる毎回しっかりした裏付けに支えられたテキストの精読、研究によるリード、そして参加者のみなさんの意欲ある意見交換によって、やってこられました。
私自身、感覚だけではなく歴史観をもってアートをみていくことで、より作品の奥行や味わいが深まることもたくさん学ばせてもらいました。ありがとうございました!
第4期は来年春に開催を予定しております。
テーマはこれから考えてまいります。もしアート研究会でとり上げてもらいたいというテーマやテキストなどのご希望がありましたら、ぜひギャラリー(2222gmf@gmail.com)までお寄せください!お待ちしております!